ビジネスユニットは異なるプロジェクト、部署、顧客、チームごとにコストを分類し把握することができます。
例えば、Test、Dev、Prodといった3つの異なるアカウントで複数のAWSサービスが利用して、顧客に新しいアプリケーションを提供しています。そして、プロジェクトXというプロジェクトで、全てのリソースが稼働しているとします。
この場合、共通のユーザー定義タグとアカウント連携を用いたビジネスユニットを作成し、アプリケーションの開発に関連するコストを追跡することができます。
ビジネスユニットの利点
図1. ビジネスユニットリスト
BUの利点として次のものが挙げられます。
サブスクリプションアカウントで、複数のビジネスユニットが作成できます。また、作成にはCloudSpendで管理者権限が必要です。
タグが必要な場合、AWS作成タグおよび、請求コスト管理コンソールのユーザー定義タグを有効にする必要があります。
選択した連携アカウントやタグに関連付けられているコストは、グループ化されてビジネスユニットとして登録されます。
次のコスト分析(費用分析とリソース探索)、予算管理、コストレポートについてを使用してBUを有効に活用できます。
費用分析ではサービス、アカウント、リージョン、コンポーネント、トレンド、リソース、インスタンスタイプなどの内訳を表示します。図1のようにダッシュボードから特定のビジネスユニットを選択して、そのビジネスユニットの発生コストの合計、最大費用アカウント、最小費用アカウントなどの情報を取得できます。カスタム期間を設定して、異なるコストタイプを選択できます。
図2. BU費用分析
BUリソース探索でアカウント、リージョン、サービス、タグといった各カテゴリでAWSリソースのビューを集約します。図2のように特定のBUのアカウント内訳ビューでビュー情報を選択すると、リソース探索項目を表示します。
日次、月次、週次、四半期、年次でリソースレベルの費用を表示し、そのレポートをPDFでメール通知することもできます。カスタム期間を設定して異なるコストタイプをドロップダウンから選択できます。
図3. BUリソース探索
BUの予算を作成してコスト管理をプロアクティブに行います。BUに設定されている予算は月次、四半期、年次、過去1か月間、過去1年間で表示し、コスト超過があった場合に通知を行います。
予算ポリシーを作成して、予算を関連付ける際に、既存のBUにアサインします。これにより、各チームは予算内でクラウドコストを管理、監視することができます。
その他にも次のような予算のしきい値違反についてアラートを受信できます。
BUの予算の設定方法:
図4. 関連予算ポリシー
図5. R&D四半期予算割り当て
BU場合、割り当てコストを各部署で均等にし、1か月の予算を守ることは面倒なプロセスです。
責任会計またはチャージバックは、管理者が予算を超えた部門を見つけたり、経費を膨らませた要因を追跡したり、予算編成や予測などのツールの実装で中心的な役割を果たすのに役立ちます。予測機能はリソースサイズの変更や計画の見直しに役立てられます。
BUの予測で過去の使用料に基づいて、現在から1ヶ月先までの請求量を予測して表示します。個々のビジネスユニットの分割支出を評価し、それに応じて計画を立て、1か月の予算を超えないように対策を計画するのに役立ちます。
請求レポートでBUの現在のクラウドコストのトレンドを可視化し、効果的な機能でコストの追跡を行います。コストレポーティングで、各BUに関するレポートを月次、四半期、年次でスケジュールできます。こうすることで、一定頻度で使用率レポートを受信できます。
図1のように、BUダッシュボードから複数BUのレポートを簡単にスケジュールできます。このレポートのデフォルトの頻度は月次です。BUリストレポートを設定したら図6のようにポップアップが表示され、そこでスケジュールしたいレポートのBUを選択できます。
図6. BUリストのスケジュールレポート
BU内で、費用分析項目で特定のアカウントを選択し、レポートを共有できます。
図7. BU費用分析でアカウントを選択してレポートを共有
[スケジュールレポート]をクリックして、BU全体の費用分析レポートを月次、四半期、年次の頻度で特定のメールアドレスにスケジュールします。
図8. BU費用分析レポートのスケジュール
BUの場合、リソース探索項目で特定のアカウントを選択して、そのレポートを共有できます。
図9. BUリソース探索でアカウントを選択してレポートを共有
この項目のスケジュールレポートで、リージョン、サービス、アカウントの各条件で分類されたレポートを月次、四半期、年次の頻度で設定できます。
図10. BUリソース分析のスケジュールレポート
管理者項目でのスケジュールレポート機能で、これまでにスケジュールされている全レポートの概要を表示します。管理項目でBUのレポートをスケジュールできます。BUリスト、費用分析、リソース探索のレポートをすでにスケジュールしているが、即時スケジュールしたい場合にはハンバーガーアイコン内の今すぐスケジュールを選択します。
図11. BU費用分析のスケジュールレポート
各タグ付けは、組み込みタグ、リソースレベルのタグ、タグプロファイルはBUで利用できます。これらタグ機能については次の項目を参照してください。
タグは似ているクラウドコストの分類や整理に役立ちます。ここでは2タイプのタグが使用できます。
組み込みタグまたは自動生成されたタグは、AWSの請求書に含まれる特定のエンティティであり、コストを整理するのに便利なように解析され、そのタグとして提供されます。これらにはユーザー定義タグとAWS作成のタグのような割り当てタグがふくまれます。AWS管理コンソールで設定されているユーザー定義タグはここに表示されます。
データサイエンスチームのクラウドデータ出力費用を表示したいとします。初めにデータサイエンスチームのアカウントを選択して、組み込みタグ(data transfer type)を選択後、表示するコストタイプを選択します。データ出力クラウドコストに関するその他組み込みタグはAWS Outbound、CloudFront Outbound、InterRegion Outbound、IntraRegion Outboundです。次の図12ではタグの推奨ドロップダウンがAWS請求に基づく個々の項目です。
図12. 組み込みタグ推奨でのBU費用分析
BUのリソースエクスプローラーレベルのタグは、リソースの消費パターンの表示を容易にします。組み込みのタグは、BUのリソースエクスプローラーセクション全体に表示され、AWSリソースごとに発生したコストのドリルダウンビューを取得するのに役立ちます。
米国東部地域のリソースに発生したコストとIntraRegionのデータ転送タイプを表示する必要があるシナリオを考えてみます。ドロップダウンからアベイラビリティーゾーンとデータ転送タイプに関連付けられたタグを選択し、リソースレベルのコストを表示する必要があります。リソースのページ分割されたビューを使用すると、AWS請求書の個々のリソースに関連付けられたコストを検索できます。
図13. 組み込みタグでのBUリソース探索
キーと値を追加することでタグプロファイルでタグをカスタマイズします。
各キーは一意であり、各キーは値に対し一対一で必要があります。AND、ORを用いてタグを包含したり、論理演算子でタグの値を複数用いられます。
開発、テスト、本番といった異なる環境で起動しているアプリケーションのクラウドコストを追跡したいとします。
開発環境で使用されていてUS-east-1リージョンで起動しているEC2インスタンスによるコストを特定するには、AND論理演算子でタグプロファイルを作成します。これらのタグは各BUの費用分析およびリソース探索項目で使用されます。
次の手順でビジネスユニットの設定をいつでも修正できます。